IPv6におけるDNS

(Software Design 1998年11月号)

梅本 肇 UMEMOTO Hajimu E-mail: ume@mahoroba.org

 インターネットに接続するにあたって,なくてはならないサービスがDNSで す.
 DNSはIPv6アドレスを扱うために若干約束事が追加されていますが,基本的 な考え方はIPv4と変わりません.

IPv6アドレスの登録

 IPv4では正引きはAレコードを使って登録しますが,IPv6ではこれに相当す るAAAAレコードと呼ばれるレコードで登録します.つまり,DNSは最低限AAAA レコードを扱える必要があります.
 AAAAレコードは,BIND 4.9.7および8系列でサポートされています.これら のバージョンのBINDを使用すれば,IPv6アドレスをIPv4でアナウンスできま す.
 逆引きは,IPv6アドレスを4ビット毎に区切り,16進表記で逆順に並べ, IP6.INT.を付けたものになります.となります.例えば
4.4.c.7.8.f.e.f.f.f.f.a.0.2.2.0.0.0.0.0.2.0.0.0.5.0.5.0.e.f.f.3.IP6.INT.
といった感じです.

IPv6による問い合わせ

 ISCが配布している版のままでは,IPv6でのアナウンスはできません.
 IPv6を喋るDNSはnewbie () などで開発が進められていますが,現在は発展途上です.
 つまり,これまでは実質的には,IPv6でDNSの問い合わせを行うことができ ませんでしたので,IPv6のみでは生活し辛い状況でした.
 BIND 8.1.2がIPv6化され,昨年末にKAME (http://www.kame.net/) のports に加わりました.これにより,IPv6のみでも安定した運用が可能にな りました(図1).
●図1 nslookupの出力例
ume@piano:240> nslookup -type=any harp
Server:  chaos.calm.imasy.or.jp
Address:  3ffe:505:2:0:220:afff:fef8:7c44

harp.calm.imasy.or.jp   internet address = 202.227.26.39
harp.calm.imasy.or.jp   IPv6 address = 3ffe:505:2:0:220:afff:fe34:5d54
harp.calm.imasy.or.jp   preference = 10, mail exchanger = chaos.calm.imasy.or.jp
calm.imasy.or.jp        nameserver = chaos.calm.imasy.or.jp
calm.imasy.or.jp        nameserver = peace.calm.imasy.or.jp
chaos.calm.imasy.or.jp  IPv6 address = 3ffe:505:2:0:220:afff:fef8:7c44
chaos.calm.imasy.or.jp  internet address = 202.227.26.33
peace.calm.imasy.or.jp  IPv6 address = 3ffe:505:2:0:200:f8ff:fe05:3eae
peace.calm.imasy.or.jp  internet address = 202.227.26.34

Plug&Play機能とDNS

 IPv6の大きな特長はPlug&Playができることでしょう.しかしながら, 動的に割り当てられたアドレスが自動的にDNSに載るわけではありません. Dynamic DNSはIPv6時代には欲しいものの1つでしょう.是非サポートが望まれ ます.

IPv4射影IPv6アドレスの扱い

 IPv4では,ライブラリ関数としてgethostbyaddr(3)とgethostbyname(3)が提 供されていました.RFC2133では,これらの関数をIPv6 も扱えるようにすると 共に,検索対象とするアドレスファミリーを指定できるようにした gethostbyname2(3)という関数が追加されました.
 しかし,これらの関数はIPv4射影IPv6アドレス注1の扱いが繁雑 であったため,今年3月に出されたRFC2533で,新たにgetipnodebyaddr(3)と getipnodebyname(3)が追加されました.KAMEは既にこれらの関数もサポートし ています.

IPv6移行戦略とDNS

 好むと好まざるに拘らず近い将来IPv4からIPv6 に移行することになるでしょ う.
 IPv6に対応したアプリケーションは,まずAAAAレコードをがあるか調べます. AAAAレコードがあればIPv6で通信を試みます.なければ,Aレコードを探しま す.IPv6対応したホストが増えてくれば,自然とIPv6が使われるようになって 行くという狙いです.これを,デュアル・スタック戦略と呼んでいます.
 このように,IPv6移行にはDNSは重要な役割を演じています.

IPv6だけで生活できるようになるために

 さて,DNSがIPv6化されたことで,IPv6だけで生活できる下地は整いました. では,インターネットにIPv6だけでつながれば良いのでしょうか?
 答えは,残念ながらノーです.今後,徐々にIPv6でアナウンスされるように なって行くのでしょうが,現状では多くのサイトがDNSをIPv6でアナウンスし ていません.そのため,インターネット的にはまだしばらくはIPv4な接続性が 必要です(図2).
 ルートサーバを含めて全てをIPv6で問い合わせできるようになる日が来るの が待ち遠しい今日この頃です.
●図2 IPv4/IPv6混在によるDNS問い合わせ
IPv4/IPv6混在によるDNS問い合わせ


注1) IPv4射影IPv6アドレス:
IPv4ホストとの互換性を取るために用いられるアドレスで, “::ffff:IPv4アドレス”という表現をします.


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Last Modified Aug 25, 2001
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