2) もっぱらソフトウェア・ベンチャーのために働いている私としても、これ は、極めて喜ばしいことだ。また、将来において“やっぱりソフトウェアに融 資するのは危なくてできない”などといわれることのないように、初期の段階 である現在においてこそ、十分に厳しいデュー・ディリジェンスが金融機関に よってソフトウェア・ベンチャーに対して行われることを望みたい。
3) しかし、ソフトウェア・ベンチャーがファンド・レイジングを行い、また、 金融機関がソフトウェア・ベンチャーに対するファイナンスによってより大き な利益を得るためには、デット・ファイナンスだけでは不十分であるのも、ま た、事実だ。
4) その理由はこうだ。デット・ファイナンスの場合、規制された利息分を越 えて金融機関がもうけることはできない。従って、金融機関は、一つ一つの融 資案件において、確実に資金を回収していかなければならない。(リスクとリ ターンの程度が異なるいくつかの案件をくみあわせてポートフォリオを組み、 全体で利益があがればよしとするわけにはいかない。)つまり、金融機関は、 融資の際に、ソフトウェア・ベンチャーから何らかの担保をとらなければなら ない。ところが、知的財産権を担保にしようという場合、“これから開発をは じめる新規な”ソフトウェアを担保にするのは困難だ。なぜなら、まだ、その ソフトウェアはその一部分すら完成していないから、そのソフトウェアに対す る著作権は存在しないからだ。
5) ところが、このような形でソフトウェアを融資の担保にすることができる のは、“既にソフトウェアが概ね(少なくともα版)できあがっていて、これ から行う商品化及びマーケティング活動の資金を調達”しようとするソフトウェ ア・ハウスか、“既にソフトウェア(たとえば、Version 1.3)は完成してい て、それを担保に資金を調達して、その資金によってそのソフトウェアのバー ジョン・アップ(たとえば、Version 2.0)を開発”しようとするソフトウェ ア・ハウスか、いずれかのタイプが中心となるだろう。
6) 残念ながら、“これから新しいアイディアによって新規なソフトウェアを 開発するのだ!”という、ファイナンサーにとってはもっともうまみのある (もちろん、リスクも大きいが)、そして、ベンチャーにとっても最も資金を 必要とする機会 (opportunity) におけるファイナンスは、デット・ファイナ ンスの形では難しい。
7) だから、エクィティ・ファイナンスが定着することが望まれる。
2) それに、クリエーターの方も、有能な人ほど、しばしばオタクであって、 “わかる”能力がない人に対して巧くしゃべることは苦手なことも多い。
3) 一方、ファイナンサーの方はどうかというと、技術がわからない、従って、 クリエーターから話をきいてもそれが果たして将来有望な技術なのかどうか判 断できず、結局、既にトレンドになっている類の技術(つまり、完全な敗北は しないかもしれないが、大化けはしそうにないもの)にばかり投資して、結局、 リターンが少ないままに終わってしまうのが現状だ。
4) そこで、エクィティ投資を促進して、クリエーターとファイナンサーの双 方がリターンをあげられるようにするためには、両者の間をとりもつ Connoisseurが必要になる。
2) 次に、彼女又は彼は、金融業界の人々にわかりやすいようなたとえ話を使 うなりして、クリエータの構想をファイナンサーに“わかった気にさせる”能 力がなければならない。それも、クリエータたちの極めてオタクな話しを理解 した上でのことだ。つまり、Connoisseurたろうとする彼女又は彼は、“しゃ べるおタク”でなければならない。
3) このようなConnoisseurがファイナンサーとクリエータの間を取り持つ案 件であって初めて、ハイリスク・ハイリターンのエクィティ投資に踏み切るこ とができる。
4) もし、金融機関がソフトウェアに対するエクィティ投資から恒常的にリター ンを得ようとするならば、まさにConnoisseurたり得る人材を用いる必要があ る。
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