ネットワーク時代の知的所有権入門
編集部:印刷された紙の形になっていて、だれに渡しても信用され、どこに渡っ ていっても1万円は1万円であるというイメージです。
でも、ひよっとしたらもらう人によっては、日本円なんていらないと言うかも しれない。でも、金 (Gold) だったら多分欲しいでしょう。白金とか銀とかでも 文句ないでしょう。
逆に、銅だったら、こんなの電線屋さんに売りに行くくのが面倒くさいと言う かもしれないが、10円玉だったらとりあえず11枚集まれば缶コーヒーくらい買え るからまあいいやと言ってポケットに入れるかも知れない。
編:その人が何に価値を認めるかということですかね。
まあ、結論を急ぐのはやめておきましょう(笑)。
多分ロシアに行ったらロシアループルのお札より米ドルのほうがいいとみんな 言うと思うのです。でも、日本国内の人に米ドルを出したら、日本円のほうがい いという人のほうが多いでしよう。また、コンビニで米ドル札を出したらやめて くれと言われるでしようね。が、これからアメリカに行く人でちよっと銀行に行っ ている暇がないという人に米ドルをあげたらそれは喜ばれるかもしれない。
たとえぱ、パソコンをくれるとか工場からの出荷価格でパソコンを調達できる とすれば、それは僕が原稿料をもらって秋葉原とかに行つてパソコンを買うより もいいものが買えるわけです。また、僕が事務所を引っ越すとしたら、原稿料よ りも引っ越し手伝いのほうがいいのかもしれない。
エレクトリックコマースを大々的にやるとなると、不特定多数のお客さんにモ ノを売らなくてはならないんですが、そうなると、お金で決済するしかないでしょ う。では、どうして後で銀行送金するのではいけないんでしょうか。
たとえぱ、僕らが本を買うときに、通販だったら申込書を送って、本といっしょ に送られてきた支払書に書き込んで郵便局や銀行に送金をしに行きます。そうす ると、エレクトリックコマースの注文を受けてモノを持っていくという部分と決 済の部分は分けても構わないわけです。
(インターネットで) 注文を受けてモノを送るところまでは、もういつでもで きる状態です。だれかが黙ってある人の家にそばを50杯を注文したというような ことを防ぐ仕組みさえ整っていればいいわけです。ならば、どうして電子マネー が必要なのかという疑いがあってもおかしくない。
確かに、僕ら忙しいから郵便局に行ってられないということはあるかもしれな い。しかし、今ではパソコンでホームバンキングができるわけです。それで振り 込みをしたらいいわけです。それなのに、どうして電子マネーが必要なのでしょ うか?
編:たとえばインターネットウォッチのようなインターネットで配るコンテンツが あります。これはオンラインで注文して、振り込みで支払いをしてもらっていま す。でも、当初に心配したのは、注文はその場でするけど、わざわざ二千何百円 かを払いに郵便局か銀行まで足を運ぶかということだったんです。
ホームページで注文とカード番号を入れればそこで同時にすべてが済むという のであればそのはうが便利なのではないでしょうか。
しかし、その心配とは、お客さんが後でちゃんと払ってくれるのかということ ですね。お客さんは別に不誠実ではないのかもしれないし、お金は持っているの だけれども面倒くさいと思って、支払うのを忘れてしまうということですね。
編:そういう問題が1つと、面倒だからお客さんが買ってくれない。申し込みに結 ぴつかないということを心配しました。
そうすると、銀行送金が面倒でない仕組みさえできればいいわけですね。
それならば、ある銀行がインターネット上で決済できるようにすると言ってい ます。インプレスのページの中にフレームで囲つてここには注文のレーム、こ こにはその銀行のフレームとすれば、それで何の文句があるだろうかということ になりませんか?
ページ上で銀行送金ができるのに、どうして電子マネーが必要なのかというこ とになる。しかし、銀行振り込みで(恥ずかしいもの)を買うのはイヤだな。
ところが、NTTなどの提案ではBからCへ、次のDへと電子マネーが手渡されてい れきます。
どうして、匿名のままB、C、Dと転々としなければならないのかという問題が あります。匿名性を保って一回だけ移転できれぱそれで十分ではないのか。転々 とする必要性をは感じない。確かに、現金だとAからB、 BからCに転々と動くが、 ほとんどの場合、商店はずっと手元に持っていてもしようがないので毎日銀行に 持って行くわけです。だから、電子マネーを銀行に持って行かないで、転々とす ることが永遠にできるといったって、犯罪を試みない人にとってはそれほどメリッ トはないという気がする。
が、理想的現金という意味での電子マネ一というとむやみに匿名を強調するん です。
一方で、警察とかは匿名の電子現金ができるとどこから出てきたお金か分から なくなるから、マネーロンダリングされるので困ると言う。困らないように電子 マネーの転々譲渡の回数を限定したらどうなんだろうか。とか言うと遅れてきた 左翼たちから怒られるのかしれない(笑)。
編:電子マネーをBからCに転々と移転できなくするとしますよね。その場合、匿 名性は残るんでしょうか。そうすると使ったのはAだということは明らかになる から、結局シリアルが打ってあればBのお店で使ったということ自体は調べれば 分かる。 BからCへ転々としてもいいという決まりを作っただけで、Bから銀行に 戻ったものは過程がどうなっているか分からないので証拠がなくなるわけでしょ うか。
電子マネーか転々することによって、証拠のトレースがしにくくなるというだ けですね。もちろんBが戻した銀行がもらったデータからAという人を持定するこ とはできない。Bが自分で銀行にしゃべったら終わりですけれども、データをト レースできないようにする仕組みはあります。その代わり、警察が銀行にこのお 金は Bから来たのか?と聞いてチェックしにきたとします。そして、警察がデー タではなく人間Bに対してどういう人物が買いにきたのか?と調べることによって Aをトレースすることはできるはずです。
人間を通じて証拠をトレースするのは警察もそれなりの労力を払うわけだから、 無意味に監視するためにやることは少ないと思うんです。なにか合理的な疑いが あるからそういったことをやっているわけです。普通に暮らしている限りは困る ことはないんです。しかし、それを超えてまで匿名性が必要なのでしようか?匿 名性が必要だというのがどうしても分からない。
たとえぱ、紙幣が匿名だ言ったって使っているうちにぼろぼろになるからそん なに長いこと使わないうちに銀行に戻ります。だから、lつ前の紙幣のデザイン はもう覚えていない。見ることもないわけですし。電子マネーだったら腐らない からぼろぼろにならない。まあ、本当に電子マネーが物理的にいつまでも続くと いうことはありえないですが。どうしてかというと、検証しなけれぱいけないバ ラメーターがどんどん増えていくからです。そうすると、AからBに支払ってBが 検証してOKならCに出て行きますよというときに、この検証時間がどんどん無限 に近くなっていってしまう。そんなの使えるわけないんです。
たとえば、手形は裏書きしていきます。裏書きが連続しているからこの手形は 信用できて現金に換えられると思うわけです。それと、この電子マネーシステム は一緒なんです。そしたら、電子マネーってなんだろう?ということになる。
僕らが品物を買うときには、毎日5〜6回消費者として買い物しています。そう すると、5×30で150回の買い物がすべて匿名性が必要だということはないですよ ね。
編:それはどういう意味ででしょうか?
それば消費者レベルではなく、企業レベルです。
パソコンを作っている会社があるとします(図1参照)。そして、別の会社が CPUを作っているとします。この関係の間では、まずofferがある。こういうスペッ クのこういう製品があるので、買ってくださいということです。次に、注文のデー タが流される。そして、今度は品物が送られてくる。次に、検収が終わったよと か、あるいは不良品が混じっていたので交換して送り直しますなどのやり取りが される。次に請求がある。そして、支払いが銀行送金で行われる。それが終わっ たら、次に何をするかというと、消し込み処理がされるわけです。銀行送金は、 大体いくつもの請求をまとめて翌月末とか翌々月10日とかに送金されます。送金 されると、あの請求とこの請求でこれはいくらなのかとか、つきあわせて調べる のです。さあ、これで何回データが行き来しているんだということになる。
で、電子マネーにタグを付けられるとすれば支払いのValue (V)かあって、V にはxyzpqとタグが付いていく。そして支払いごとにVl、V2、 V3となりそれぞれ にタグが付いている。これだけのタグが付いたValue Σという電子マネーを圧縮 した状態で銀行に送れないかな?
今の銀行送金は、Valueと支払人と支払先と、それとせいぜい目的が書けるく らいです。だけど、いっぺんに全部払いたい場合は、目的はいちいち書けない。 だけど、支払いの方法として電子マネーで圧縮したデータを作れるのであれぱ、 Valueか並んだValue Σを1つのデータに圧縮して送れるかもしれない。そうする と、送金を受け取った企業でば自動的に消し込みができるわけです。銀行送金を 革命的に改善する方法としてこの種の電子マネーが出てきてくれないと困ると思 うのです。
この場合は、匿名性ではなくて完璧にトレース可能でなければならないのです。 電子マネーの暗号技術や認証技術をうまく使うことで、安全に完璧にトレース可 能な送金と決済ができるのではないかと思うのです。
しかし、これを一般の人は電子マネーとは言っていないわけです。その割には エレクトリックコマースの協議会などがあると電子マネー電子マネーと騒ぐわけ です。そうなると、一体どんな電子マネーを考えているのだろうかと思うわけで す。エレクトリックコマースの協議会で匿名性のある電子マネーを考えろなんて 意味がないじゃないかと思うんです。
たとえば銀行送金については、まとめて処理するからだれが払ったかについて はトレース可能だが、どの商品の払いかということに関しては図らずも匿名になっ ています。メーカーと部品屋さんの間なんてそうですよ。いっていろいろと部品 を調達しているわけですから、まとめて払わないと手数料がもったいないんです。
銀行がこのようなサービスをするためのインフラを作り、1億円を送る手数料 よりは高く取るけれども、1千万ずつ分けて送ったよりは安い手数料に抑えて、 間を自分のもうけにするというようなサービスをやったらいいじゃないのかな?
参考文献: "図解よくわかる「電子マネー」" 日立製作所・新金融シスデム推進本部編 日刊工業新聞社 1996年 http://www.digicash.com/ "知的財産(権×)宣言" ワイアード1996年11月以降の連載 (http://www.wired.ddp.co.jp/bit/tera)) 寺本振透著