今回は松倉秀実氏からバトンタッチを受けて、わたくしterraの担当です。terraは、ソフトウェアや通信関係の取引の支援、 ベンチャー・ビジネスの支援やベンチャー向け金融の仕組みの立案を中心に仕事をしている弁護士です。
さて、読者のみなさまは、きっと、知的所有権(厳密には知的財産権といいますが、 その話はまた後ほど...)がどうたらこうたらと偉そうなことを言っている法律家(ほうりつや)さんがどんな環境で仕事をしているのか気にかかることでしょう(ネットワークを使ってない法律家さんがネットワーク上での知的所有権がなんじゃかんじゃとか言ってたら凄いものがありますものね)。
というわけで、terraの貧弱な仕事の環境をばらしてしまいましょう(さて、「仕事」が貧弱なのか「環境」が貧弱なのかどっち?)。
- 【加入してるネットワーク】
- ・NIFTY-Serve
- ・CompuServe
- ・RIMNET(ダイアルアップ IP 接続です)
- 【メイン・システム】
- ・六代目こと iDX4 100MHz マシン
- ・17 インチディスプレイ
- ・14,400bps モデム
- ・400dpi のコピー機兼プリンタ
- ・OS/2 J2.11とWindows 3.1 の二重ブート
- 【インターネット接続環境の変遷】
- ・最初は...Chameleon Ver. 4.0J
- ・次には...Air Series TCP/IP for Windows Version 3.0J
- ・現在は...本誌No.3(1995年2月号)についてた IBM Internet Connection for OS/2 と IBM WebExplorer for OS/2 に、上記 Air Series の中のいくつかのアプリケーションを組み合わせて
- 【他にサブ・システム(七代目こと iDX4 100MHz マシン)とサブ・サブ
- ・システム(四代目こと 386SX のノートPC)】
- 【My Favorites】
- ・Dorling Kindersley MULTIMEDIA の STOWAWAY!
- ・Interplay Productions, Inc. の Battle Chess
さて、お喋りが過ぎてしまいました。知的所有権の中心であります著作権(連載第1回)と特許権(連載第2回)の概説を受け、 今回はいろいろな法律がらみの問題がありそうだということを紹介して、 次回からの個別の問題の解説につなげなければならないのでありました。
ネットワークの上で、私たちは、数々の情報を流したり、受取ったりします。 この情報は、文章であったり、プログラムであったり、画像であったり、 音声であったり、あるいは、様々な種類の情報を組み合わせたものであったりします。
このような情報の多くは、知的所有権の対象となっています。 知的所有権というのは、一般的には、「私が創造した情報を勝手に使ってはいけません!」と主張する力なのです。 そして、ビジネスの世界では、「私が創造した情報を使わせてあげるから、 お金(ロイヤルティ)を払って下さいね!」と主張する力となるのです。
(1) だとすると、基本的なところでも、次のようにいろんなことが気になります。
(2) さらに、ネットワークを使ってビジネスを始めると、 もっともっと、様々な疑問がわいてくることでしょう。 例えば...
- ネットワークで流される様々な情報を使いたいと思ったときに... ちょっと待てよ。勝手に使っちゃいけないんじゃないの?
- 誰が権利を持っているか、どうすればわかるの?
- 権利を持っている人とどうやって交渉して、どんな契約を結べば良いの?
- ロイヤルティってどう計算するの?
(3) さらにさらに、ネットワークの世界にどっぷりとつかっていくと、 これまでの法律の常識に疑問を持ちたくなるかもしれません。それは、 知的所有権の世界におさまりきらないものかもしれません。例えば...
- データベースからダウンロードした情報を別の人に流したり、 上司への提案書にくっつけたりしてもいいの?
- データベースを使ったときに支払うお金って、知的所有権とどう関係するの? それとも、単に便利なサービスだからお金を払うだけなの?
- 勝手によその会社の商号や商標とよく似たドメイン名を使ったら叱られるんじゃないの?(商号や商標については、そのうち解説しましょう)
- どこかのWWWサーバーからダウンロードしたアートを個人で使ってるPCの壁紙にしてもいいの? もし、会社のPCだったら?
(4) まだまだ疑問はつきません。 疑問を列挙しているうちにterraの寿命は尽きてしまうことでしょう。
- そもそも「私が創造したものを無断で使わないで下さい!」 という知的所有権と、 自由な情報の流通が命のネットワークとは相性が悪いんじゃないの?
- ネットワーク上でヴァーチャル・コーポレーションを運営しようとすると、 会社法(会社の運営の基準を決める法律です。日本では、商法の中にあります)とか外為法(お金、技術、品物等が国境を超えて動く取引を規制する法律です)とか税法とかは、 どう適用されるの?
私たちは、これらの様々な疑問の答えを知るために、 今そこにある法律のルールを知り、 それを具体的な問題にあてはめなければなりません。でも、法律のルールとは、完成されたものではなく、 動かせないものでもありません。 むしろ、新たなネットワーク時代の法を創っていくのは、 ネットワーク上の情報発信者であり、受信者でもある、 みなさん(と私たち)ではありませんか!今そこにある法律のルールも、 現実の取引慣行から導かれたものです。 決して、神から一方的に与えられたものではないのですから!