OmegaTをTRPG翻訳に使ってみよう

目次


はじめに

 「翻訳メモリとは?」については、例えば翻訳メモ リ(日本語版Wikipedia)を読んで頂くのが一番良いと思うのですが、簡単に説明しましょう。
というものです。主として産業翻訳の分野で広く使用されていると思われます。英語ではCAT tool (Computer Aided Translation tool)などと呼ぶようです。
 従って「自動翻訳でないならば意味が無い」と思う人には、あまり役に立ちません。

 一方でTRPGのフレーバーテキストはともかくルール部分の英文の翻訳に関しては、以 前Blogに書きましたが、技術系文章と同様に看做せる事から、産業翻訳と同様に有用であると推測されます。(私にはTRPG業界人の親しい知人 はいないので、プロがルール翻訳にこの手のツールを使っているかどうかは知りません。でも商用のTRADOSなどのソフトを使っていると思うのだが。)

 その一方でつい最近まで、私は長い間この手のソフトの存在を知りつつも、使ってみる気になりませんでした。というのは、
という事情で、「当分の間、自分で使う事は無いよなぁ」と思っていたのでした。

 が、某所で遊ぶ際に、未訳ルールを使用したい場合は日本語訳を提出すれば良いという規則らしく、これまでの方針を改 め英文ルールを和訳する必要が出た訳です。
 で、
と思った次第です。

  翻訳作業自体は結局途中で放棄することになった(なんとなく自分のPCに不要なFeatのような気がしてきた。なので訳文も提出してない) のですが、書きかけた使い方マニュアルは皆様の役に立つのではないかと思い、公開します。(特に、D&D関係の翻訳をしたい人には、私の作った用 語集リストを流用出来るのでお薦めです。)

 逆に、今後ある種のTRPGの翻訳プロジェクトを行う様な場合は、例えば用語集作りを下記で紹介するOmegaTのフォーマットで作るとか、あるいは相 談用Wikiと翻訳メモリ用CVS、みたいな感じで管理して行くといいんじゃないかなぁ、と思ったり。

 TRPG関連でOmegaTを使ってみた、という人はメールと かでお知らせ頂ければ、リンクなり追記を行おうと思いますので、宜しくお願い致します。
As of 2007/3/24

OmegaTとは

 さて、翻訳メモリツールには様々な製品があります。詳しくは前述のWikipediaのエントリを参照。TRADOSとかが有名な製品らしい。
 が、仕事で使うプロ(あるいはプロを目指している人)ででもなければ高額な製品を買う訳無いよねぇ。

 今回試してみて紹介するOmegaTは、
という利点があります。普通にPCとかMacとか持っている人なら無料で使用可能になります。
 OmegaTの日本語オンラインマニュアルは、OmegaT ユーザーマニュアルを参照して下さい。かなり詳しく書いてあります。

インストールと起動

 ここは使用しているOSによって各自違うでしょう。私はMacユーザなのでMacで使用した場合の使い方を解説しますが、違うのは jar ファイルを起動するとか使用するテキストエディタが違うだけであり、基本的には同じはず。MacOSXの場合はJavaがプリインストールされています。
 前提となるJavaですが、WindowsユーザはSunからJava SDKとかダウンロードしてインストールして下さい。方法は適当にGoogleして調べてね。

入手方法

 SourceForgeのダウンロードサイトか ら入手します。私が入手した時点では、version 1.6.1_01が最新でした(2007/3/24の時点では1.6.1_04。毎月更新されている様です)。で、私はMacユーザなのでMac版の zipファイル(OmegaT_1.6.1_01_MacOSX.zip) をダウン ロードします。Windowsユーザの人は、自分で色々試してみて欲しい。
 Macの場合は簡単で、zipファイルをダブルクリックすると解凍されてフォルダが出来るので適当な場所にそれを移動、更にその中の OmegaT.jar というファイルをダブルクリックするとOmegaTが起動します。
OmegaT起動画面スクリーンショット


準備

プロジェクト作成

 まず、「プロジェクト→新規作成」でプロジェクトを作成します。ここでは ReserveFeat というプロジェクトを作成する事にしました。
プロジェクト作成1
 次にプロジェクトの設定画面が出るので下記の様に設定します。
プロジェクト作成2

用語集リスト

 次に、用語集リストを作ります。これは上述の用語集フォルダ /glossary に、「英語 TAB 日本語 (TAB コメント)」とタブ区切りで訳語のリストを与えるもの。ファイル名は *.tab とします。今回の目的ではルール用語はHobbyJapan日本語版ルールに従うのが望ましいと考えるので、このようなものを予め作成します。
 今回はGoogleで見つけた、HobbyJapan社の 対訳語リストのページと、Glaurung さん作成の訳語対照表を元に作成しました。HobbyJapan社とGlaurungさんに感謝を。D&D様の用語集ですが、欲しい人は どうぞ ---> rule-terms.tab, rule-terms-win.tab (改 行コードをWindows用にしたものがrule-terms-win.tabです。)
用語集リスト

翻訳対象

 最後に翻訳対象の訳文を用意します。これは訳すべき対象のファイルを /source フォルダに *.txt という名前のファイルとして置くだけ。
翻訳対象
 

翻訳

 まず、OmegaTを再起動し、先ほど作成したプロジェクトを開き、翻訳対象の文章を開きます。するとこんな画面になるはず。用語集から関係のある単語 だけ抽出されている事がわかります。
翻訳対象を開く
 早速、用語集が役に立っているのが判ります。<文節 0001> </文節> の間にカーソルを合わせて、その英文を日本語に訳し、Enterキーを押して次の文へ移動します。移動は、メニューの「移動」から行う事も可能です(やり 直したい時とかに戻るなど)。

 とりあえずFeatを一つ翻訳してみました。用語集はかなり便利です。
ある程度翻訳したところ

 最後の文まで訳したら、「プロジェクト→保存」「プロジェクト→訳文ファイル生成」を行います。
 出来上がった訳文ファイルは /target ディレクトリに生成されます。
ここまでの翻訳結果

翻訳メモリの効果

 さて、ここまでならば用語集を自動参照してくれる程度の便利なエディタにすぎません。翻訳メモリの翻訳メモリたる効果を観てみましょう。

 別の Feat である Aquatic Breathについて、別に aquatic_breath.txt というファイルを同様に作って source フォルダに入れ、OmegaT から開いてみます。
 すると、下記の様な感じで、類似文章を検索して表示してくれます(...ってまぁ、先ほど訳した分しか例文が無い訳ですが。)。これを参考にすれば、2 個目の Feat の翻訳は簡単に済みそうですね。用語や文体の統一も簡単そうです。
 私は今回、D&D のルールの和訳について、Feat 1個を翻訳したところで中断してしまいましたが、もっと長い文章を翻訳する際には、更なる効果があるものと考えています。
類似文章検索1


類似文章検索2
 

まとめ

 TRPG のルールは技術文書と良く似ている。従って技術文書などと同様に、翻訳メモリを使用することで効率的に翻訳出来ると考える。
 そこでオープンソースの翻訳メモリソフトである OmegaT を使用してみた。また、簡単な使用方法を紹介した。
 翻訳メモリを有効活用する為には、翻訳の開始前に用語集を作成しておく事が重要であることが判った。ルール用語などは、翻訳に取りかかる前に予め訳語を 決定する必要がある。充実した用語集があれば、用語を自動参照してくれるので、かなり楽になる。